バレンタインデー2013
先に出ると言って湯船からあがったスガタの背中を見送りながら、タクトはつまらなそうに小さなため息をついた。
別に女の子でもないし特別こういう日になにかするような性格でもないのはわかっている。けれどもしかしたらという期待を捨てきれないのはやはり「恋人」としてお付き合いしているからだとタクトは思う。
今日は世間がチョコレートに翻弄される日、バレンタインデーだった。
「チョコならメイドの2人がくれたけど、スガタにも渡してたから前みたいにスガタが作ったわけじゃなさそうだし」
がっかりと肩を落とすタクトは、そのままブクブクと湯船消えていった。
一方先にあがったスガタは、そそくさと自室に戻ると一度ドアを振り返ってから、そっと棚の引き出しを開ける。
取り出したのは女性が好きそうなデザインの施された茶色く細長い箱で、スガタの手にちょうど収まる大きさだ。それを机の上に置くと、スガタはじっと目をそらさず、意を決したように再び手に取ると中身を取り出した。
「スガタ〜?いる?」
程なくしてスガタの部屋をノックする音とタクトの声が同時に聞こえ、スガタが返事をする間もなくガチャリとドアが開かれる。
「タクト、僕の返事くらい待てよ」
既にベッドの上で本を読んでいたスガタは、ちらりとタクトを見ると再び視線を本に戻してしまう。
「んー。今日は何読んでるの?」
当たり前にスガタの隣へ体を滑り込ませながら、タクトはスガタの手元を覗きこむ。そこでふと気づく、湯上りのはずのスガタからいつものボディソープの香りがしないのだ。
不思議に思い、スンスンと鼻を鳴らしてみるタクトに、スガタの鼓動は既に早まっている。もう文字を追うこともできず、次にタクトが何かいうのを期待してつばを飲みこむ。
そしてスガタの期待通りの言葉がタクトからポロリとこぼれた。
「ねえなんか、スガタからいつもと違ういい匂いがするんだけど……甘くて……これってさ、」
チョコレートの香りだよね?そうスガタの耳元で甘い声で囁くと、耳まで真っ赤に染めたスガタが懸命にタクトから視線を逸らしていて、タクトはもう閉じられてしまった本の上でぎゅっと握りしめられたスガタの手をそっと上から包む。
「すごく嬉しい。スガタのことだから、こういう日には興味が無いのかと思ってたけど……ねえ自惚れてもいいの?」
「好きに、しろ……!」
「ふふ、スガタを、かなー」
言いながらスガタを押し倒しその唇に軽く触れると唇を首筋に移して、再びスンスンと鼻を鳴らすタクトにスガタは眉を寄せて熱い吐息を漏らす。
「スガタ、僕がこうするの期待してたんだ」
首元で嬉しそうにするタクトは満足気に笑うと、スガタの既に硬くなっているそこへスルリと手を伸ばし撫でる。
「ん、は、ぁタクト……」
「大好きだよ、スガタ」
今度はお互いの舌を絡ませあいながらの熱いキスに、スガタは頬を赤く染めながらタクトの背中に腕を回すとぎゅうっと強く抱きしめた。
「僕がプレゼントなんて、ベタすぎだったか?」
「そんなことないよ!さっきも言ったけどさ、凄いびっくりしたよ。スガタからこんな最高のプレゼントが貰えるなんて夢みたいだ」
END
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